ルートレター感想&考察 〜吉岡栞の進学先はどこなのか

主人公は東京の設計事務所で働く33歳の男性、通称マックス。


彼には15年前、高校三年のときに文通していた女の子がいました。
その子は島根在住で、名前は文野亜弥。


当時マックスは文通を通して亜弥と交流し、
亜弥に対して憎からず思っていたのですが、
結局会う機会はないまま、時が流れていました。


しかし、あるとき実家に戻って荷物の整理をしていると、
亜弥からもらった手紙の中に、なぜか消印のない未開封の手紙が…。


しかも、その内容は、亜弥が人を殺したという罪を告白するもの。


なぜ消印のない手紙が実家に?
亜弥が犯した罪とは?


主人公は、真相を探るため、
そして亜弥に会うため、島根に旅に出るのでした。


角川ゲームズと箕星太朗が島根とタイアップして送る
「回想と現実が織りなす青春サスペンス」。


問答無用でネタバレするので続き印。


このゲームのクソゲーたるゆえんについては、
いろんな人がいろんなブログでさんざん書いているので、
ここであえて繰り返すことはしません。


PS4/VITA「√Letter ルートレター」レビュー! - 絶対SIMPLE主義
http://sinplelove.jp/blog-entry-5901.html

ルートレター 感想と若干の考察 - 白い林檎、硝子のスープ
http://astin.hatenablog.com/entry/2016/06/24/204256

「√Letter ルートレター」 感想 - ENJOYな日々(*´ω`*)
http://tikuwa0401.blog.fc2.com/blog-entry-391.html


私はルートレターを非常に楽しんだ側の人間ですが、
それはそれとして、
上述のブログに書いてある内容に大きな異論はない、
とだけ言っておきます。


暴走する主人公が亜弥のクラスメート達を追いつめるのを
ぽかんとしながら眺めるゲーム。


破綻したシナリオと破綻したキャラクターが、
一周回ってバカゲーとして面白い、
そんな感じのゲームです。


しかし、そんなことはどうでもいいです。
ここで考えたいのは、


「物語のヒロイン、文野亜弥こと吉岡栞が進学した大学とはどこなのか?」


ということです。


というのは、


物語中において、栞は島根大庭高校を卒業後、
「京都の国立大学に進学した」とあるわけです。


そして、2016発売のゲームにおいて、
主要登場人物のほぼすべてが33歳の同学年設定。
舞台が2016かどうかはほんとのところわからないのですが、
仮に2016だとすると、栞は2001年(平成13年)大学入学。
普通にいけば2005年(平成17年)卒業。


これは、京都の大学出身の私にとって、
栞が同時期に京都の街で暮らしていたという可能性を示唆します。


ならば、京都の大学事情についてふつうの人よりちょっと詳しい身として、
栞の進学先がどの大学なのか、推測し、当てることができるかもしれません。


というわけで、ちょっと考察してみました。


1 まず、確実に特定できることは…


物語中においてはっきり語られている設定は、
「京都の国立大学に進学した」ということだけです。
『親友』であったはずの由香里でさえ、
自分が受験失敗して余裕がなかったこと、当時栞と気まずかったことから、
栞の正確な進学先を知りません。
この段階では、栞が進学した大学を特定するのは不可能なように思えます。


しかし、実は、京都に国立大学は3つしかありません。


すなわち、
1 京都大学
2 京都工業繊維大学
3 京都教育大学
の3つです。


以下において、様々な状況証拠から、
この3つの大学のうちどれかということの特定を試みたいと思います。


2 松江大庭高校のレベルからの考察


松江大庭高校は、進学校ではあるものの、
学年一の秀才である『メガネ』をして、
「東大には届かない」という程度。
たとえば、島根県トップの県立松江北高校であれば
毎年東大合格者を複数名出しているので、
そこまでのレベルではないということがわかります。


一方、ゲーム内で松江大庭高校のある場所には、
リアルでは別の高校がありますが、
その高校は進学校というわけではなく、
たぶんそこの成績トップの人は「東大には届かない」ということで
いちいち絶望したりはしないと思います。


では、松江大庭高校の進学校としてのレベルについては、
どう考えればいいのか。


ゲーム内で松江大庭高校がある場所より少し東に行ったところに、
ある高校があります(名前はあえて出さない)。
この高校のレベルは、
「東大合格者を毎年1人出すか出さないか」
くらいです
(現役で受かってるかどうかという問題があるけど、
現役合格がかどうかはホームページの情報からはわからないので
とりあえず考えないことにします)。


このレベルであれば、学年トップの『メガネ』にとって
「東大には届かない」というのは、
非常に切実かつリアルな絶望ということになります。


そのような微妙なレベルだからこそ
「僕が行けるとうだいは 日御碕灯台くらいだ」
などというセリフが出てくるわけです。


というわけで、松江大庭高校のレベルを、仮にその高校と同じとします。


そして、栞は、その高校において、
高3の二学期に学年トップだった『メガネ』を抜いて、
カンニングを疑われたわけです。


では、そんな栞が「京都の国立大学に受かった」場合に考えられる、
吉岡栞の進学先は…?


京都大学なのではないでしょうか。


3 吉岡栞の進路からの考察


前述したように、京都に国立大学は三つあります。


しかし、その三つの大学は、
分野的に被るところはあるものの、それぞれ守備範囲があります。
工学系や教育学について学べる大学は複数ですが、
たとえば、法学を学ぼうと思えば、京都大学しかありません。


吉岡栞は33歳の現在、看護師になっています。
また「将来ノーベル賞を取るかも」と言われている
『メガネ』とクラスメイトであることからして、
高3のときには理系クラスにいた可能性が高いです。


そして、看護師の資格を取ることができる国立大学は、
三つの中で一つしかありません。


すなわち、京都大学です。


ただし、このアプローチには欠陥があります。


一つは、2016年時点で33歳だとすると、
18歳の時点では2001年。
その時点では、京都大学において看護師資格を取ることができるのは、
京都大学医学部ではなく、
3年制の京都大学医療技術短期大学部(医短)という
京大であって京大でないような、微妙な存在でした。


当時の京都大学医療技術短期大学部のレベルを
今から調べることはできないのですが、
伝え聞く情報から判断する限り…
島根からわざわざ進学するほどではない…はず
そこに進学して「京都の国立大学に受かった」というのは、
ちょっと釈然としないものがあります。
(なお、現在の医短の後身たる京都大学医学部人間健康科学科は、
 さすがに医学部医学科と比べると大きくレベルが劣るものの、
 他の京大の学部とはあまり変わらなくなっています)。


もう一つは、吉岡栞2001大学入学説を採ると、
ふつうにいけば2005卒。
それからしばらく文野教授のもとで研究を手伝っていたとしても、
その後学校に通って2016までに看護師資格を取ることは
時間的に十分可能です。


となると、必ずしも大学で看護師資格を取っている必要はない
ということになります。


4 吉岡栞フランス文学専攻説


栞は卒業後島根に戻り、しばらく文野教授の研究を手伝っていました。
そして、文野教授の専門はフランス文学です。


では、栞は大学でフランス文学を専攻していたとしましょう。
看護師資格は、島根に帰ってから取ったと考えます。


この場合でも、やはり、京都大学、京都工繊大、京都教育大のうち、
フランス文学が学べるのは
京都大学文学部か、少し広く見ても京都大学総合人間学部しかないです。


ただ、栞は理系クラスにいたと考えられるのですが、
京大の文系は、原則、受験に地歴のうち2科目必要であるという
ひどいシステムになっています。


理系クラスではよほどのことがない限り
地歴は1科目しか授業がないと考えられるため、
栞が京都大学文学部に進学したとすると、
栞は孤独な独学を強いられていた(ぶっちゃけ現役ではかなり苦しい)、
ということになります。


でも、そこは文野教授の個人指導を受けたとあるので、
世界史あたりを教わったのかもしれません。



5 決め手。アフリカ医療のためになぜか南米に行く


個人的に決め手だと思うのが、
栞の迷走ぶりです。
栞がどういう動機と経緯で看護師になろうと思ったのかは
定かでないのですが、
問題はなった後です。


すれ違い編のラストで、
栞は一日違いで海外へと発ってしまい、
マックスとは結局会えずじまいになってしまいます。


ところが、その栞の目的と行先が謎です。


アフリカの医療をなんとかするためになぜか「南米」に行っています。


何考えとんじゃ、アフリカの医療なんとかするためならアフリカ行けよ…。


これを説明するおそらくもっとも説得力ある理屈は
「ライターが間違えた」というものなのですが、
このゲーム、意味のわからない伏線や
何がやりたいのかわからない展開が無数にあって、
そういうことを考えだすとキリがないので、
とりあえずその可能性は考えないものとします。


では、なんでアフリカの医療の関係で南米に行くのか。


たぶん本人の中で何かの理屈はあるのだろうけど
(意味もないのにできるような行動ではない)、
ふつうの人間には意味がわからない。


そういうことをする人材をしばしば輩出(排出ともいう)する大学を
我々は知っています。


そう、京都大学です。


6 まとめ


というわけで、


吉岡栞京大出身説


をぶち上げてみました。


おそらくこの説の最大の弱点は、
時期的に看護師資格を京大で取ったとは考えにくいことなんですが、
他の京都の国立大学で看護師の資格が取れるわけでもないので、
京都の国立大学に進学した、というのを信じる限り、
吉岡栞の進学先は京大である可能性が一番高いと考えます。


まあ、実際のところ京大かどうかはともかく、
少なくとも、吉岡栞が、21世紀初めころに
京都で学生生活を送っていたことは間違いないです。


吉岡栞というキャラは、
ヒロインのくせにほとんど登場せず、
どんなキャラクターなのかも最後までいまいちわからないんですが、
同じような時代に同じ街で学生生活を過ごしたという設定ということで、
なんだかとても親しみを感じるキャラクターになってしまいました。
戯言シリーズいーちゃんに対して親しみを感じるのと同じ現象)。


というわけで、たまたま自分の持っている属性のせいで、
ルートレターは妙に思い出深いゲームになりました。


決して、ルートレターがクソゲーだから、
クソゲーハンターとして気に入ったわけではありません。
決して、ルートレターがクソゲーだから、
クソゲーハンターとして気に入ったわけではありません(二度)。


異論は認めます。